それからは喋らずに、授業に専念した。

いや、まぁ、それが普通なんだけど。

そういえば、今日一日で原田くんとたくさん喋ってるなぁ。
今まで一度も喋ったことなかったから、なんだか不思議な感覚だった。

話しかけにくい雰囲気みたいなのがあったけど、実際は全然そんなことはなくて、話してて楽しい。

素直じゃないようなところもあるけど、そこはまぁ、個性として受け止めよう。


…にしても、原田くんのお顔は本当にお美しくて、見てて飽きることがない。

窓に反射して映るその顔を見ていると、彼がこっちを見たことに気づいた。

私が窓に映ってるその顔を見てることは気づいていないようで、ずっと私を見ていた。

……気のせいかな。
その顔はとても優しくて、穏やかで。
今日見た中で一番いい表情だった。

…なんなんだ、彼は。