大好きなコーヒー牛乳に手を伸ばすと、何かがぶつかって、それは下に落ちてしまった。


「あ」

「あ、ごめんね如月さん!」

「ううん…」


コーヒー牛乳…
コンビニで残ってた、最後の一個…


「え、えと…」

「あ、大丈夫だよ」


笑って見せると、その男の子は申し訳なさそうに男子の輪に加わった。


「大丈夫じゃないくせに」

「紗英…」


紗英はそっと、私の頭を撫でてくれた。

その手は、私のお母さんの手になんだか似ていて、とても安心できる。


「紗英…大好きだよ」


私がそう言うと、紗英は一瞬目を見開いて、笑顔を見せてくれた。

その顔も私のお母さんに似ていて、つられて私も笑った。