なんだかんだいいながら、紗英はお弁当を食べ終えていた。
早すぎる。

私なんて、このパンの袋の封を切ってすらないのに。


「あら?今日はお弁当じゃないのね」

「うん、寝坊しちゃったから作れなくて」

「珍しいわねぇ。昨日は眠れなかったの?」

「うん、バイトが長引いて、帰りが遅くなっちゃって」

「…危ないわねぇ」


いただきます、と言ってパンにかぶりつく。
コーンがいっぱいのった大好きなパン。


「ほんと、私の家に来てもいいのよ?」

「んーん。だいおーぶだお」

「…ひとまず口ん中のやつ飲み込んでからしゃべってね」

「………のみこんだよ」

「無理矢理飲み込んだらあぶないでしょ」

「あははー」


っとにかわいいわねぇ、と言いながら、少し眉を下げて、私の頭を撫でてくれた紗英。

紗英には、心配ばかりかけちゃってるみたい。
なんだかんだで、紗英は優しいし、一番の友達で、大好きな子だ。


「無理はしないでね」

「うん、大丈夫だよ」


そう言って笑って見せると、紗英は悲しそうにそう、とつぶやいた。