あまりにも突然で大きな音だったので、びっくりして私の体は跳ねた。
その隣で、原田くんは何やら笑いを堪えていた。
その手には、ボールペンが握られていた。
…さっきの音はボールペンの、ペン先を引っ込ませる音だったのか…
地味にうるさいよね、あれ。
うん。
でもお陰で目が覚めた。
「ありがとう、原田くん」
「え?」
「起こしてくれて」
お礼を言われるとは思ってなかったのか、原田くんは拍子抜けしたような顔をしていた。
そんな普通なら間抜け以外の何物でもない表情だけど、原田くんの顔は整っているので美しかった。
寝起きの私にはまぶしすぎて直視できない。
私は視線を黒板に移して、ノートに板書を写しはじめた。

