隣の席の不器用男子。




「ねぇ、原田くん。授業始まるけど」

「次はなんですか」

「世界史です」


私がそう言うと、原田くんは勢いよく顔を上げた。

…あ、そういえば。
原田くんって世界史大好きだって噂が前流れてた。
本当だったんだ。

…目が輝いてる。
かわいいなぁ。

机の中からいそいそと世界史の教科書と資料集を取り出していた。

それをずっと見つめる私の視線に気づいたのか、はっとして咳払いをした原田くん。


「見ないでくれますか」

「いや、かわいかったので」

「男がかわいく思えるなんて頭おかしいんじゃないですか馬鹿ですかそれとも馬鹿にしてるんですかあり得ないゆるせな「ごめんなさい」」


…似たようなやりとりをいつかどこかでした気が…
…気のせいか。


ふと、横目で原田くんを盗み見ると、耳がほんのり赤い気がした。

…ふふ、照れてるのかな。
やっぱり原田くんはかわいいなぁ。