───…
「コハル〜、あんた、なにいちゃいちゃしてんのよ〜」
「え、いちゃいちゃなんてしてない」
「真顔やめて。あれはどっからどう見てもいちゃいちゃしてたんだから」
「私、バカにされてたんだよ」
「だから真顔やめてって」
「きゃっきゃうふふなんてしてないから。してたように見えたならいい眼科オススメするよ私の行きつけの駅前の「ごめんなさい、私の勘違いでした、許して小陽様」」
よろしい、とふんぞり返って見せた。
…休み時間になってすぐ、私は紗英に横に抱きかかえられて、こうしてトイレに連れてこられた。
人を人だと思ってないような扱いだった、あれは。
廊下を歩く人たちの目は、私を哀れんでいるように見えて仕方なかった。
…しかも、連れてこられた理由は、紗英のとんだ勘違いだった。
「まぁ、少なくとも原田くんはコハルのこと悪くは思ってないみたいよ」
「え、そうなの?」
「えぇ。原田くん、苦手な人を前にすると、いかにも嫌がるような表情しかしないって有名だもの」
「そ、そうなんだ…」
それは、原田くんに苦手とされている人はかわいそうだ…

