『好きだーーー!!』
...大胆な告白。初めてだ。




私は神伊莉菜(カナイリナ)、高校1年生。
高校での初めての体育祭。
今はその練習中。
「あーつーいー!!ヤバい死ぬ!!」
コイツは友達の由摩(ユマ)、高校で出来た友達だ。明るくて元気で、正直モテる。

「てかヤバ過ぎない!?この暑さ!!あー...焼ける焼け死ぬ...早く終わってー!!」
『大げさな...確かに暑い!!けど耐えるしかない!!頑張れ!!』
「いやお前もな(笑)」
とかなんとか楽しく喋りながら暑くて死にそうな練習を切り抜ける。
これがいつものコトだ。
でも...一つ注意点がある。
「おいそこ!!マジメにやる気あんのかこら」
『す、すいませーん。』
そう、今年のリーダーは怖いのだ。
見た目はヤンキー。しかも普段から目立つヤンキー先輩達と噂の3年生達...
目をつけられたら殺られそうだ...

そんな先輩達も休憩時間になると豹変する。笑いが絶えない休憩になる。
怖がらせてる自覚があるんだかないんだか終始ふざけて1~2年生の笑いをとる。
「いや~ヤバかったね~怒られちった☆」
『誰のせいやねん。』
「え~っと...ゴメンねっ??」
舌を出すな舌を。そのしぐさが可愛いんだけど。
その時大きな笑いが起きた。
「おっ今日もやってるー先輩ら。」
『あーまた佐伯先輩やられてるー(笑)』
佐伯先輩とは3年生のリーダーの中でもイジられキャラなのだ。
いつも背中にイタズラ書きした紙を貼られたり、喋ってる後ろで指で角を作られたり、しぐさを後ろでマネされたり(笑)
でもいつも気付かない。
今日も「彼女募集中☆」と書かれた紙を背中に貼られている。
「えっコレもしかして笑われてんのまたオレ!?」
キョロキョロする佐伯先輩。先輩方は知らん顔して後輩達は笑う。
その時佐伯先輩と目が合う。目が合うと先輩は軽く首をかしげた。
これは誰も知らないアイコンタクト。「タスケテクレ」の合図。
私は周囲に混じって笑いながらコッソリ自分の背中を指差す。
先輩は背中に手を回して剥がした紙を見た。
「またかよ!?誰だっお前か!?」
側に居た新多先輩をつかむ。
「いやいやいや俺じゃねーよ?」
いや新多先輩が犯人だ。たいがいいつも新多先輩がちょっかいを出すからすぐにバレるが毎度やる。
「なーんだ最近お前すぐ気付くし面白くねー!!何でバレっかな~?」
「あん?そりゃナイショだバカヤロウ(笑)」
「イミ分かんね(笑)」
そんなやり取りが練習中の唯一の和みだ。
ただ、佐伯先輩とは仲良くもないし、一度も話したコトもない。



初めて体育祭の練習が行われた日、その日の休憩時間に初めてコレを見た。
いつもは階段下に溜まっているヤンキーな先輩方。別に怖くはないが、ガラが悪いのは一目で分かる。
その先輩方はいつも6人組で、応援リーダーをやるというので後輩達はビビっていた。でも休憩になるとコレだから、みんなそんなに怯えなくなった。
それで休憩時間のコレを見て、佐伯先輩と目が合って、タスケテクレと言ってる気がしたから教えただけだ。
今は毎度助けを求めてくる。

怖い先輩方のしごきもついに終わり、体育祭では私達の組が圧勝した。
寂しい気もするが、やっと暑さから解放される。
「莉菜ー体育祭終わったし遊び行こー♪♪合コンだけど☆」
『えっ由摩合コン行かんでもモテるやん。何で合コン??』
「んー同じガッコの人はキョーミない☆いっつも断るけど、今フリーなんだしたまには付き合え。」
『え...何そのオラオラ。嫌やし。楽しんできぃー☆★』
「えーケチ!!」