『ただいま…。』

 (ふふん。誰も返事が返ってくるわけないのに…。)

 ヒロシはポストからダイレクトメールの束をつかみ出した。

 (どうせくだらない広告ばかりだよなぁ…。)

 (ん?なんだろ?(株)Virtul image)

 ヒロシは少し厚みのある封筒に見覚えもなく、不思議な気持ちで開けてみる。

 カチャーン

 中から鍵が落ちた。

 (何の鍵なんだ?)

 封筒の中の手紙には家族レンタルの説明が長々と書かれていた。

 (すっかり忘れてたよ…。何々…週末にこの住所へ行けばいいんだ…。大丈夫なのかよ。ま~いいや。話のたね位にはなるか…。)

 ヒロシは鍵を握りしめ、期待と不安の入り混じる気持ちで見つめていた…。