「お父様のことは、残念でした」
そう言って餅はうつむいた。
おれは思い出した。
クモシダバーに襲われ、親父は殺されたのだ。
その場に膝をつき、おれは顔をおおってうめいた。
なんでだ?なんでこんなことに?
理解できないことが、一気にたくさん起こり過ぎた。疑問が、頭の中を駆けめぐる。
シダバーとは何なのか?
なぜシダバーは親父を狙ったのか?
そして、おれの体はなぜあんな変化を起こしたのか?
親父は、何かを知っている様子だったが。
「教えてあげますよ」
おれを見下ろして餅は言った。
「え?」
「あなたの父親の秘密。あなたの体のこと。シダバーのこと。全て教えてあげます」
「・・・・・・君達は、一体何者なんだ?」
おれは、立ち上がって聞いた。
餅と、ユウ・Uーと呼ばれた片腕の無い男は、目を合わせ、うなずきあった。餅は言った。
「わたし達は、シダバー対策本部所属の、TFシステム研究所の人間です」
「TFシステム?」
「私達は、豆腐の兵器利用について、研究しているのです」
「・・・・・・・・・・・・は?」
何を言っているんだこの男は?
豆腐の兵器利用?
意味がわからない。
「あなたの父親は、私の上司でした」
「え?君ら、うちの豆腐店の従業員なの?」
こんなヤツら見たことない。
餅は首を横に振った。
「いいえ。違います」
「どういうこと?」
「あなたの父親は、豆腐店とは別に、もうひとつ、家族に秘密の仕事をしていたのです。TFシステム研究所の所長。それが、あなたの知らない父親の裏の顔でした」
そのあと、餅から聞いた話は、想像を絶するものだった。



