駄々をこねる加代の声を聞き付けたのか、障子戸の向こうから男性の声がした。


「失礼。沖田さん、宜しいですかな?」

「あぁ、ご主人。どうぞ。」


沖田の返事を受けて、障子戸が静かに開いた。



「お加代がご迷惑をお掛けしているようで、申し訳ない。さ、お加代、もう戻りなさい。」



父親であろう男性は加代に自室へ戻るよう促した。



「迷惑なんてかけてないもん!!」



加代は頬を膨らませながら反論すると、叶の後ろに隠れた。



ーえ?私の後ろ?!ー



叶が戸惑っていると、加代の父親と視線が合う。




「あの、えっと…」

「これはこれは、可愛らしい娘さんをお連れでしたか。」




加代の父親が薄く笑みを浮かべながら沖田の方へと向き直した。