「総司っ。」


元気な声と共に障子戸が勢いよく開いた。



「加代ちゃん?!」



沖田が呼んだその子は現代で言えば小学生くらいであろう女の子。



「何故こんな刻限まで起きているの?いけないよ?」



今までの言動からは考えられない程、沖田は優しい声で加代の頭を撫でる。


ーそんな声も出せるんじゃない…ー


叶は呆気に取られながら沖田と女の子を眺めた。

その視線に気付いた加代は叶を見てにっこりと笑う。



「お姉ちゃん、可笑しな格好ね。かわいい!」



ーえ?可愛い?ー


加代はちょこんと叶の前に座った。




「お姉ちゃん、どこから来たの?」

「ええと、どこ、だろう?」



ー曖昧にしか答えられないよー


視線を泳がせる叶を見た加代はポンと手を打った。



「分かった!お姉ちゃん悲しい事があって逃げてきたんでしょ!」



ーは?え?どんな解釈??ー



ポカンと加代を見つめると、加代の暴走とも呼べる発言が続く。




「それで総司に助けてもらったの?そっかぁ。行く宛ないの?お家ないの?」

「はい、そこまで。」



どこまでも話し続けそうな加代を沖田が止めた。



「加代ちゃん、もう眠らなくちゃ。」

「えー、せっかく総司が来たのに?お布団入らなきゃいけないの?」

「そうだよ。また今度は明るいうちに遊びに来るからね。」