各々が座り直し終えたのを確認した叶は、もう一度大きく息を吸い込み、話し始めた。




「どこまで信じていただけるか分かりません。けど、本当の事をお話しします。」




沖田も原田も叶を黙って見つめていた。




「私はここの人ではありません。と言うよりもこの時代の人じゃないんです。今が何年なのか分からないですが、多分今より150年以上後の人です。」




叶の言葉に二人は理解不能な顔をする。




「つくならもっとまともな嘘をつきなよ。」




沖田があからさまな顔をする。


ーそうよね、そうくるわよねー


原田は黙ったまま、顎に手をやり、考えている様だった。




「嘘と思われるのが分かってたから黙っていたんです。」




溜め息を吐きながら叶は俯いた。

そして、自分鞄の中から財布を取り出し、中のお金を二人の前に並べる。

スマホと拾った黒いスマホもそこに並べた。




「証拠と呼べるのかは疑問ですけど、この時代には無いですよね?これは私の時代で使っているお金です。この紙や硬貨で買い物をします。それから、さっき拾った物、これもこの時代には無いはずです。スマートフォンて言います。」




目の前に置かれた叶のスマホを見た沖田が、それをつまみ上げる。




「沖田さんはそれを私が使っているのを見ましたよね?」




叶の言葉に沖田が怪訝な顔をした。




「ねえ、君はどうして僕の名を知っているの?僕は沖田と名乗った覚えはないけど?」

「知っていますよ。歴史上の人物ですから。沖田総司さん、ですよね。」




それまで考えていた原田が口を開く。