ガサガサと重い袋を鳴らしながら持ち直す。

ふと公園に目を向けるとクマの形をした大きな滑り台のトンネルの中に仔猫が丸くなってるのが目に入る。


「ネコ?」


いつもなら捨てネコが居ても寄るなんて事はなかった。

いくら飼いたくともアパートでは飼えないのだから。

しかし、なぜか今日に限ってその仔猫が気になって足が向かってしまった。

叶は身を屈めてトンネルに入る。

空には段々と黒雲が立ち込め始めていた。


「クロネコちゃんか。こんにちは。」


そっと仔猫の横に座る。

近付くとビクッと身構え、仔猫は大きな目で叶を見る。


「何にもしないよ?」


叶も仔猫をじっと見つめ返す。

遠くから雷の音が鳴り始めた。


「雷だ……雨、降るかな?ね、クロネコちゃん、私、このまま毎日を過ごすのかな?……てキミに言っても仕方ないか。」

「ニャァ」


仔猫が一鳴きするとドンッと言う大きな落雷と共に一気に大粒の雨が降りだした。