ーあ、そうだ。とりあえず落ち着きたくて一服したかったんだー


ふと我に返り、鞄をゴソゴソと漁り始める。



「それ、何だ?」



原田が不思議そうに鞄を覗き込もうとした時、雷が大きな音を立てて落ちた。



「キャッ!」

「ああ、落ちたね。方向からして叶ちゃんが落ちてた辺りじゃない?」



悠長に言う沖田の言葉にハッとした。


ー私が落ちてた場所?もしかしたら戻れるかもしれない!ー



「お願いします!そこに連れて行ってください!」



叶は原田にすがりつく。



「お、おい、どうした?流石に勝手に屯所から出せる訳ないだろ。」



叶に対して優しい態度の原田なら聞き入れてくれると思い原田に懇願したものの、いとも簡単に断られる。



「逃げません!お願いします!」



それでも望みがあるかもしれないその場に行くのを諦められる筈がない。

必死に頼み込む。



「いいんじゃない?」



後ろから掛けられた沖田からの思いがけない言葉。