無理矢理、引き摺り出される様に叶は沖田に連れられていく。



ーあ、カバン!ー



転びそうになりながらも叶は急に止まった。



「危ないじゃない。何?」

「あの、カバン持って行きたいんです。」

「かばん?何それ。」




開け放たれたままの障子戸から見える広間。

そこに置かれている叶の食材と鞄を指差す。




「あそこの黒い小さいのです。」




叶が指差した物に気付いた原田がそれを持ち、叶と沖田の元にやって来た。




「おい!左之!お前まで何してやがる!」




広間から土方の怒鳴り声。




「まあまあ、そう青筋立てんなって。見張りだよ、見張り。」



ヒラヒラと手を振って原田は叶と沖田の横に立つ。




「さて、と。じゃ、気晴らしに行くとするか。」




原田はポンと叶の頭に手をやる。

3人は屯所内から消えていった。