沖田は不機嫌丸出しの表情で刀に延ばしかけた手を納めた。


「何しにきたんですか?」

「土方さん達が総司を探してたって言ったろ。妙に騒がしかったしな、俺も探してたんだよ。」



原田はしゃがみ込んでいた叶の腕を取り引き上げる。


「叶だったな。騒がしい原因はお前さんだったか。」


ー私……なんだろうか?ー

ー勝手に騒ぎ立てられている気がしないでもないんだけどな……ー

そう思いながら、原田の引く勢いに任せて立ち上がった瞬間、足先に激痛が走る。


「いっ、た!」


顔を顰め、よろけた叶を原田が抱き留めた。



「おい、どうした?」

「いえ。何でもないですから。」


慌てて原田の腕から出ようとすると、抱き留めた腕の力がグッと強くなる。


「何でもねえって訳じゃねえよな。」


そう言うと叶をヒョイと横に抱き上げた。

ーお、お姫様抱っこ?!ー


「キャッ!ちょ、何するんですか?!」



足をバタつかせ暴れる叶。



「おっと。危ねえって。……ん?痛みの原因はこいつか。」



暴れる叶を肩に抱き変えるとバタついていた足を掴む。



「大した傷じゃねえが、こうも沢山切れてちゃ痛むだろ。事情はあるだろうがまずは手当が先だ。大人しくしといてくれよ、な。」

「…………はい。」


叶にはもう選択肢はなかった。