「左之さん…………どうして此処に来たんですか?其処、どいてもらえません?」


あからさまに不機嫌な沖田。


「落ち着けって。土方さん、探してたぜ。近藤さんもよ」

「近藤さんが?」

「ああ。早いとこ行った方がいいんじゃねえか?」


沖田の表情は一瞬緩んだものの、叶を見ると再び表情を変える。


「その前に、その子をどうにかしなきゃ。近藤さんに害を成すなら生かしちゃおけないしね。」



近藤、土方、斎藤……それでこの人が総司って……やっぱりここって…………



「おい、大丈夫か?」


地べたにしゃがみこんだまま押し黙っている叶を”左之”と呼ばれた男が覗き込む。



「あ……はい……あの…………」

「で、お前さん名は?」

「森田叶……です。」



不安感からか、か細い声で答えるとクシャと叶の頭を大きな手が包む。



「叶か。俺は原田左之助だ。心配する事ないぜ。事情はよく知らねえがな。」


ー事情は知らないけど心配ないって……心配だらけなんだけど…………ー

根拠のない言葉だったが何故か叶はホッとしていた。