一方、仔猫を追い掛けた沖田が叶の閉じ込められた蔵付近に辿り着く。

蔵から聴こえてくる歌声に沖田の足が止まった。


「唄?」


一歩、また一歩と蔵に近付く。

その前まで着くと仔猫はカリカリと蔵を掻き、歌声は蔵内から聴こえていたのがはっきりと分かった。

聞きなれない言葉の羅列に驚きながらも澄んだ歌声に沖田はその目を閉じる。

中で歌っている叶には仔猫の掻く音は届かない様だった。