「お前等いつまでもちんたらやってんじゃねえ。本当に陽が暮ちまうだろうが。」
ーそんな事言われても……ー
「そこの女、何しに此処に来たんだ。」
夢か現実かも既に分からなくなった叶には答え様がなかった。
「もう、放っておいて!」
叶はそう叫ぶと逃げる様に走り出した。
「あ、ちょっと、叶ちゃん!」
「総司、放っておけ。」
その背中に沖田の声を聞きながら、振り向きもせず叶は走り続けた。
「あーあ、行っちゃった。」
「本人が放っておけと言ってるんだ。」
「ま、いいですけど。いいところだけ持ってかれるのは悔しいんですけどね。」
土方と沖田はゆっくりと叶の走り去った方へ歩きだした。



