翌日、さっそく両親に報告をした。


私は、18で騎手デビューしたものの、騎乗機会に恵まれなくて…。久馬くんの勧めもあり、早々と騎手から調教助手に転向した。


今は、滝山厩舎で調教助手として働いている。父親は調教師、母親は厩務員だから、妊娠中でもできる限り厩舎を手伝いたいと思っていた。


「まぁ、あんまり無理しないで。悪阻もあるだろうし」


流産経験のある娘を、両親は気遣ってくれた。


「ありがとう。私は家にいるのが嫌だから、馬のそばにいたいから」


両親と話をしていると、久馬くんがやってきた。

「おはようございます」

「おはよう。彩から聞いたよ。おめでとう」


「ありがとうございます。当分は、ご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします」


そう言った久馬くんに笑顔はなかった。


久馬くん…正直、嬉しくないのかな…。