「おはようございます」

いつもより少し遅れてトレセンに入った。滝山厩舎でご両親に報告してから、小山厩舎に顔を出した。

「おはよう。今日は、遅かったけど…もしかして…」

すぐに小山先生に勘づかれた。

「…おかげさまで…」

「おめでとう!男か?女か?」

小山先生は、自分の孫が産まれたかのように喜んでくれた。

「ありがとうございます。女の子です」

「女の子か!!まぁ、どちらにせよ無事に産まれて良かったなぁ」

バシッと叩かれた。
なんだか照れくさくて、俯いて、靴で地面をザッザッと蹴った。

「おはようございます」

その声に振り向いた。
声の主は、戸田厩舎に所属している騎手の北本くんだった。

「北本くん、おはよう」