痛い!痛いよぅ…。

でも、久馬くんが手を握ってくれているし、もう少しの辛抱!もう少ししたら、会えるんだから。

痛いと叫びたい気持ちを抑えながら、頑張った。

…ヤダ…。
コレって、悪夢と同じような状況。正夢…とかないよね…。

「赤ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫ですよ!!さぁ、もう少し!もう少しで出てきますから」

「ひいいいいぃぃぃ~」

痛いを通り越して、なんだかわけがわからない。意味不明な言葉を発しながら、耐えるしかなかった。

コレ、ホントにこの世のモノじゃない痛み!鼻からスイカが出るくらい!

気が遠くなりかけた時、天使の声が聞こえた。

「おめでとうございます!!女の子ですよ」

ああ…。産まれたんだ。

「彩、オツカレ」

久馬くんの、少々上擦った声を初めて聞いた。

「オツカレ…」

生まれたての赤ちゃんとご対面。赤ちゃんって、ホントに赤いんだ!

「ちっちゃい…」

出産後って、感動して泣くかと思ったけど、大仕事を終えて疲れがどっと押し寄せてきた。

まだ、実感がないのかもしれない。