いよいよ予定日が近付き、いつ陣痛がきてもおかしくなかった。

それでも翌日は厩舎にいた。

「間に合わなかったら、ここで産むか!?」

「ここで産まれたら聖徳太子だね!」

私の両親はそんなことを言う余裕があった。まわりの人たちは気にかけてくれてるのに…。久馬くんなんて、1日に何度もうちの厩舎に顔を出してくれている。

本人は…というと、全く産まれる気配がない…。まぁ、予定日じゃないしこんなもんかな?

いつ陣痛がきても対応できるように、心の準備ができていたし、金曜日の夕方までに産まれなかったら、実家に泊めてもらう予定にしていた。

もうすぐ赤ちゃんに会える喜びと、想像を超えるであろう出産の大変さに対する緊張や不安が入り混じった思いは日々膨らんでいった。