私たちは21歳で籍を入れた。親族で食事会はしたけど、結婚式はあげていなかった。指輪も買わなかった。指輪よりも大切なもので繋がっていると思っていたから。

「久馬くん!いいよっ。妊婦だし、産んだらサイズが合わなくなるかも」

私が慌てて言うと、店員さんが笑顔で言った。

「無料でお直しさせていただいております」

「それなら大丈夫だろ?気にするな」

「気にするよ!!指輪なんて高価すぎるし…」

「欲しいもの言え…って言ったのはオマエだろうが」

「言ったけど…」

「結婚指輪は、オレが欲しくて買うんだから」

「ウソだ…」

久馬くんのぶっきらぼうな優しさに思わず涙。

「多少悩んでもいいけど早く選べ」

「もう…。わけわかんない…」

久馬くんは、ぶっきらぼうで気まぐれだけど、最高に優しい。私の愛しい人。

涙の笑顔で、呟いた。