「いっ…ってぇ…」

ゴトッと大きな音したもんね、痛いよね。と心の中で同感する。

「それよりさ、日和ちゃん来てるけど?」

それより…ってそれよりで片付けられたよ…

「は…?」

キョトンってしてキョロキョロしてるし…可愛い…
バチッとわたしと志乃の視線が絡み合い、志乃は床から立ち上がってわたしの所まで足を進めた。

「うわ…、宇佐見…」

志乃は咲羅を見た瞬間、顔を歪めてわたしを抱きしめた。
志乃はわたしに微笑んだ瞬間、わたしの顔は頬を染めて俯いた。

「朝日奈のことも今までのことも早いうちに日和に話したほうがいい、これ忠告」

咲羅の言葉に志乃はわたしに罰の悪そうな顔ではにかんだ。
わたしは志乃の頭を優しく撫でて微笑んだ。

「日和、」

志乃のいつのより弱くて苦しい声が廊下に響く。