「日和~今日もフワフワしてるね~」

佐倉 日和(さくら ひより)、高校二年生。
友達の宇佐見 咲羅(うさみ さくら)にいつものように言われている。
わたしは首を傾げながら、先ほどコンビニで買ったパックのイチゴミルクを飲む。

「よくそんなん飲めるな…」

咲羅の彼氏の神谷 波音(かみや なお)くん。
なんと二人は中学二年から付き合っていて、時々だけど3人で遊んだりする。
髪を少しだけ立てて、前髪を上のほうでバッテンにしている。
そんな可愛らしい波音くんだが、甘いものは苦手。
若干、顔を顰めながらも私の前の席に座る波音くんはやっぱり可愛らしい。

「イチゴミルクおいしいよ~」

わたしが笑顔で答えると波音くんは盛大に顔を歪め、咲羅はケラケラと笑っている。

「全然変ってないな…、フワフワしてて和むわ」

それは昔からわたしがフワフワしてると言いたいのか。

「それが日和でしょ」

波音くんに向けて咲羅は“何言ってんの?”的な視線を向ける。
だな、と一人納得をした波音くん。

「おーい、席着け~。HR始めるぞ~」

担任の男特有の野太い声がして、ギョッっとする波音くん。
波音くんは隣のクラスで急いで自分の教室に戻っていった。
いつものように担任の話は聞かず、外を見ながらイチゴミルクを飲む。