目の前の扉をノックする。
「はぁーい。」
「深海だよ。」
「入ってー!」
開ける気配がないということは、ゲームをしてる可能性が高い。
「ごめんねいきなり。」
「深海なら、いつでも大歓迎♡」
水希ちゃんは、そう言って、荷物を持ってくれた。
「鍵あるなら、暗くならないうちに明日の授業の用意、持ってきたら?」
「ぁ、うん、そうだね。」
きっと家にはお兄ちゃんがいる。
お母さんはお兄ちゃんと私を、家に二人にはさせない。
なんでかは知らないけど、昔からずっと。
「でも、ヒロくんが、いる可能性があるか。あたしも一緒に行くから行こうか。」
なんでお兄ちゃんがいると、2人以上いなきゃいけないのかわからない。
「ぁ、やっぱり、航連れて行きなさい。男子の方が安全じゃない?」
そんなのわからない。
「水希ちゃんじゃダメなの?」
「ダメじゃないけど、航の方が力あるじゃない。」
確かにそれはそうだ。
航ちゃんの方が力はあるけど、
「まぁ、ヒロくんに持ってこさせるってのもありよ?」
「お母さんに、お兄ちゃんに自分の部屋に入らせるなって言われてるよ。」
入ったら鍵を閉めろって、入られないように部屋にいない時は鍵を閉めろって。二人きりになったら部屋にこもるか、航ちゃんのお家か、海渡のお家に行けって。
「やっぱり、あたしと行こうか。」
私はただ頷いた。


