おばさんの口からお兄ちゃんの名前が出た気がしたけどあたしは知らないふりをした。
「あ、そろそろ行かなきゃ!行ってきます!おばさん!」
「はい、いってらっしゃい。」
おばさんは嫌じゃないのだろうか、たまに急に気になることがある。私は娘でも何でもなくて、本当に隣に住んでるだけの他人なのに、こうしてお弁当まで持たせてくれる。
「深海~、おはよ~」
「あ、海渡。おはよ。」
幼なじみは大きなあくびをして近寄ってきた。
「波流は一緒じゃないの?」
「そっちこそ、航は?」
喧嘩したなんてどうやって言おう。シンクロ部をやめろって言われたなんてどう言おう。
「航ちゃんは、先生に質問があるみたい!」
「ふーん。」
嘘だ、気付いてるかな。海渡は妙に鋭いから。


