「おばさん、お風呂ありがとう…」
航ちゃんの顔を見て声が小さくなるのがわかる。
「あら、深海ちゃん、座って、」
うん、と頷いて気まずいながらに航ちゃんの横に座る。
「水希呼んでくる。」
さっと立ち上がった航ちゃんに何となくあたしは複雑だ。
「あら、ありがとう。」
普段なら頼んでも断るのにねぇ、とおばさんが不思議そうな顔をする。
「あ、はは。」
笑ってごまかすしかない。
「喧嘩でもしたの?」
おばさんの言葉にぎくっとして、それでもなんとなく強がってしまう。ううん、そんなことないよーなんて、そんなことあるのに言ってしまう。
「ただいまー、ぁ、深海ちゃん、今日泊まり?」
「うん、そうだよー、」
「じゃぁさ、勉強教えて!」
登ちゃんがニコニコと言うのでいいよー、とだけ返す。
「航には絶対教えてって言わないのに深海ちゃんにはいうのね」
おばさんが笑いながら言う。
「わっくんバカにするから。」
「その呼び名で呼ぶな。」
ぽんっと登ちゃんの頭が叩かれる。
「わっくん、痛い!」