飛べないイルカ


入れ替わりのようにやって来る航ちゃん。

すれ違ってはなさそうかな。

「航ちゃん、」

「ここにいたってことは、水泳部入ったのか?」

「うん!シンクロ好きだもん。」

シンクロが大好きだから…私、あの人たち支えたいって思ったんだよ?

だけど

一番支えたいのは航ちゃんだから…航ちゃんを支えられる場所を作ることから始めるよ…。

「こんなとこで、あんなためにもならない部活に精を出すくらいなら、バスケ部のマネでもしろよ…」

「え?」

ためにもならない、部活…?

ってなに?

「海渡も、波流もバカだ。またシンクロチームでも作ってやった方が有意義になるに決まってるのに、あんな部活に入るなんてバカだ。」

「!私は!支えたいと思ったの!あの人たちみたいな努力してる人を、支えたいと思ったの。保…新のカタリーナローテーション、すごく綺麗なんだよ?海渡も波流も、ジャンプ、荒削りだけどちゃんと飛べてるよ?」

「他の二人はどうなんだよ。」
「それは…」

まだ発展途上、としか言いようがないけど、そんな風には言えない。

「まだ下手くそなんだろ?去年の文化祭の演技だってつまらなかった。感動なんてしなかった。そんな部活に、用はない」

「航ちゃんのバカ!失礼すぎるよ!もう今日は帰る!」

ショックだ…航ちゃんが、シンクロをバカにするなんて信じたくなかったよ…