「頼むっ!」
航に教えてもらう方が下手な教師に教えてもらうよりわかりやすいことくらい、目に見えてる。
それに、深海と、航の邪魔を出来る。
「わかんないところはいつでも聞きに来ていいからな?波流は、どうする?」
波流は、今小説に夢中のようだ。
「うーん、波流は、わからなくなったらお願いするね。まだ、今は大丈夫だから。」
そう言ってまた、小説を書き出す。
深海は、黙って数学を解いていた。
確か、見開き2p分あるはずだ。
始まって20分。俺が生物をグズグズといている間に、あと残り大問1つにまでしたようだ。
さすがというか、はやい。
「終わったー。やっぱ最初の方は簡単だね。」
深海は、航にそう言って微笑んだ。
「海渡、私、生物の宿題終わらせたいんだけど、」
よく考えれば俺はまだ一問も解いてない。いや、解けてない。
「わ、悪りぃ…。まだ、解けてねぇ。」
何と無く恥ずかしくなる。
「なら、一緒にワークみようか。確か、大問2〜4だよね。」
俺は、あぁ、と頷いて深海の反応を見る。
「波流、場所変わってもらえる?」
波流の肯定とともに、深海が俺の隣に座る。
そんなことですら、嬉しく感じる。