「いきなり行くの?」
「おばさんに連絡入れとくから大丈夫だって!」
そういう問題じゃないでしょって言いたいのを我慢して、分かったと頷く。
「じゃぁ、お前は帰りにバスケ部行って航と、一緒に帰ってこい!」
「は?私が⁉︎」
昨日行ったばっかりなのに…。
また行かなきゃいけないのか。
「だって、女子なら見学ですむし、俺と航仲悪りぃじゃん。」
あぁ、そうだった。
もともとは、とても仲良しだったのに、シンクロのことで言い争って以来全く話してないんだよね。私の家の両隣だから困る……。
「それに、お前なら航んち、隣だし、いきなり行っても何も言われねぇだろ。」
海渡もおばさんとは仲良しでしょ、と言いたいのは、心の中でためておく。
ため息と同時に着信音がなり出した。
「ぁ、私だ。…もしもし。」
聞き慣れた母の大きな声が耳に入ってくる。
「…うん、わかった。じゃぁね。」
内容は簡単。今日は母も父も、残業で、深夜まで帰れないから、航ちゃんの家に泊めてもらえということ。航ちゃんの家には、許可をもらっているって。
ナイスタイミングというか、なんというか。
一緒に帰ってもおかしくない理由ができてしまった…。