俺たちが風呂に入らせてもらった間に航は、ランニングに行くと言って、深海も着いて行ったらしい。
昔から、航ちゃん、航ちゃんって、着いて回ってた深海のことだから、悔しいけど納得はする。
俺は昔からなにひとつ航には、勝てないんだ。
勉強だって、運動だって、シンクロだって。
俺が努力しても、水瀬には入れないと言われた。でも、あんなに自由な高校は、水瀬だけだからどうしても入りたかった。
髪を何色に染めてもいい、カラコンOK。制服さえ来ていればOK。
それに、深海が行くって言ったから。
最初は湧泉行くんだろうなって思ってた。
湧泉は、俺には行けねーやって諦めてた。
でも、水瀬って聞いたら、水瀬ならいける気がした。
水瀬なら俺でもなんとかなるんじゃないかって。
深海は、一般受験で入った。
俺は推薦受験。じゃないと、入れないって言われたから。
深海は、一般で受けて、他の高校も受けたふりをして答えを書かずに出したらしい。湧泉受けてたら絶対合格してただろうと思う。
「…ただいま。」
二人を待って1時間。
航の髪は濡れてない。でも、深海が、頬を真っ赤にして興奮したような顔。