飛べないイルカ


「大きいプール。」

「まぁ、ここはでかいかな。シンクロ用だから、深いし。」

シンクロ用だから…?

「シンクロ用?」

「そ。」

だからか、レーンとかなんにもない。

「水深は、3m。シンクロの練習しにグループで来る人もいるし、湧泉の、水泳部は、文化祭でシンクロやるためにここによく来てるよ。」

湧泉、の水泳部…。

湧泉といえば、ここから、自転車で15分。
ちょうどいい距離なんだろうな。

水瀬までは歩いて10分。鉢合わせることはほぼないけど。

それから、少しして、航ちゃんが、入ってきた。

シンクロの時にずっと使ってた水着。

懐かしい。

「航ちゃん、何やるの?」

「…ソードフィッシュとか、カタリーナ・ローテーションとか。」

「航ちゃんが、得意なやつだね!」

頷いて、ゆっくりと、航ちゃんは、準備運動を始める。

そして、ゆっくりと、水の中に入り、立ち泳ぎをする。