飛べないイルカ


航ちゃんが、シンクロをやめてない。そのことが一番嬉しい。

私は正直にそう言いたかった。

でも、航ちゃんは、そのまま、プールへと入って行った。

「深海ちゃんも泳ぐ?水着あげるけど。ぁ、もちろん、競泳用ね?」

いたずらっぽく笑いながら、柴田先輩が、私に問う。

「航ちゃんの泳ぎを見に来たので遠慮しときまーす。」

そう言って、私は航ちゃんに続いて中に入る。

プールサイドに行ってもいいかな?

「プールサイドに行きたいなら、僕にきちんと言ってよ?」

そう言って、柴田先輩が、横に来る。

「すいません、行きたいです。」

柴田先輩は、了解と一言行って、歩き出した。

ついて来いということらしい。