飛べないイルカ


話を中断して、料理を運ぶのを手伝う。

航ちゃんの好物の海老フライ。海渡の好物の唐揚げ。波流の好物の刺身。

それから、水希ちゃんの好物のイカ焼きと、私の好物の中華鍋。

今、春なんだけどな…?

しかもこの量、みんな食べれるのかな?

「ぁ、登の好物、忘れてたわ。」

登ちゃんの好物って、確か…

「ローストビーフなんか、あんのかよ。」
航ちゃんが、おばさんに声をかける。

私も同じことを思って頷く。

「何いってんの、航。ローストビーフなんか、あるわけないじゃない。登のもう一つの好物よ。」

もしかして…。

「はい、キムチ鍋。」

ですよねー。キムチ鍋だよね。

うん、登ちゃん、辛いの好きだもんね。

「、登ちゃんは?」

「もう少ししたら帰ってくるはずよ、海渡くんと、波流くん、猫舌でしょ?だから、少しでも早く冷めるように、早めに持ってきたの。」

私はあったかいお鍋が好き←

って言っても仕方ないか。