飛べないイルカ


「でも、部活入ってたよね?」

「ある日は7:00〜9:00。」

どっちみちちょうど時間的に会うことがない時間だったんだ。

「波流は、航ちゃんのシンクロ好きだよ。深海も海渡もでしょ?」

波流が、私たちの顔を見渡す。

私たちはすぐに頷いた。

航ちゃんの泳ぐ姿はイルカや、シャチのようで、大好きだった。

航ちゃんが、スイミングスクールのプールを借りてたの小学生の時までは、私は学校が終わると同時に急いで帰ってきて、航ちゃんを待ち伏せしていた。

でも、海渡と、波流が、シンクロを再開するって聞いたら、スイミングスクールには来なくなった。

「あんなの、ただのお遊びだろ」

急に航ちゃんの声のトーンが低くなるのがわかる。

こんなにも感情を表すなんて珍しい。それだけ怒っているんだろうか…。

「ねぇ、航ちゃ「ご飯出来たわよ〜」

私の声はおばさんの声に遮られた。