「ねぇ、」

体育館裏に着いたところで琴美先輩は口をひらいた。

「ぁ、はい。」
びくつきながら答える長田先輩。

「前言ったこと、やってくれるよね?」

笑顔で言う琴美先輩とちがって下を向いている長田先輩。

「いや…。今回はその…。無理だと思うんです。」
「は??!」

大きな声で言う琴美先輩。
それにびくつく夏帆。

「ちょ、やばいて。帰ろ。」
「待って。」

あたりまえになんの話かわからない。
でも、なにか気になる。
好奇心とかではなく。
見ないといけない気もする。

「やるって言ったよね?」
「いや…。そんな…犯罪ですよ。」
「かんけーねーよ!」

バチン!

琴美先輩の平手打ちの音が響く。

「す、すいません」
「やるよね?ね?」
「もう…無理です。」
「は?」

琴美先輩が笑いながら言った瞬間だった。