私のイライラは募っていくばかりだった。

 神社や名所を行けども行けども朧車は見つからない。

小山
「駄目だしんどい」

荒木
「足痛い」

谷口
「振り絞れ!」

荒木
「振り絞ったらゲロ出そう」

谷口
「うむー。確かに疲れたし帰ろっか」

小山
「良いの?てか私は家にまた来たら恐いんだけど」

谷口
「別段悪さしてるって記述は無いしなー。
 
 見た目がきしょいだけで」

荒木
「じゃあ問題無いだろ、帰ろーや、疲れたし」

小山
「他人事だと思って」

 しかし私も体力が限界なので朧車の捜索を断念し、市内へ向かうバスに乗った。

谷口
「第一見つけた所でって話だろ」
 
荒木
「それを言っちゃあおしまいよ」

小山
「やっぱそうポンポン妖怪に出くわす世の中ってのも不安だしね」

 疲れ果てた私と二人が後部座席で並んで眠っていると突如また耳鳴りが私を襲った。
 
 目を覚ました私に気づいた二人も瞼を開いた。

谷口
「まだだよ?」

荒木
「気が散って寝れねーよ、寝とけよ」

小山
「さっきから耳鳴りするんだけど、しかも結構きつめの」

 二人はバスの窓から辺りを見回した。

荒木
「病院行け、耳鼻科か脳外科どっちだろ」

小山
「追って来てるような…実際信号に引っ掛かると音が大きくなってるんだけど」

谷口
「ヤベーよ、探してたのバレたっぽいな」

荒木
「どうしよ?」

谷口
「エース、体は動くか?」

小山
「それは大丈夫」

谷口
「よし、じゃああいつを罠にはめてやろう」

 谷口は小声で作戦を話した。