私の父の怒鳴り声で去っていった怪奇は何だったんだろうか、恐る恐る谷口がドアを開けた。
 
 しかしそこにはすでに声の主は見当たらなかったが谷口は何かを見たらしい。
 
 私のどうよって顔に二人はハイハイとだけ言い二階に上がっていく。
 
小山
「どうよ?」

谷口
「疑って悪かったよ」

荒木
「当たりだな?」

谷口
「ランニングを着た変質者かもよ?」

荒木
「親父さんの落とし物届けてくれた人かも」

小山
「そんな訳無いっしょ」

谷口
「とにかく明日調査しに行こう」

荒木
「隊長、正体が分かった?」

谷口
「確証は無いけど」

小山
「教えて」

谷口
「また明日、とにかく寝よう」

小山
「教えろや」

谷口
「分かったよ、そんな顔するな。

 お前等も聞いたろ?鼻息。

 あれは多分牛だ。

 それと俺は車輪の回る音を聞いた。
 
 多分あれは朧車(おぼろぐるま)だ」

荒木
「おお、成る程」

小山
「教えて下さい」

谷口
「うむ、朧車は牛が引いた二輪の車の妖怪だ。
 
 かつて物見の場所取りに敗北した貴族の怨念で出来てるらしい」

小山
「場所取りに負けただけで?」

谷口
「昔の貴族ってのはプライドが尋常じゃなかったんだろーな」

荒木
「それに京都じゃ体裁を気にするもんさ」

小山
「ふーん」

谷口
「もう今日はねよーぜ」

荒木
「賛成~お休み」

小山
「あっお父さんの事誰かに言ったら殺すから」

谷口
「だから友達いねーって」

小山
「ごめん」

 私は気になってしょうがなかったが、眠気に襲われその晩は直ぐに眠ってしまった。