我等オカ研特捜部

 私達は例の如く、放課後秘密基地に集り、最近は中々当たりが来ないと嘆いていた。

 この前の稲荷神社以降は目立った事件も起きず、この前やったエレベーターで異次元に行くというのも空振りに終わった。

谷口
「場所が悪かったんかな?」

荒木
「三人でエレベーターに乗ったからやろ?」

小山
「1人隠れんぼはどうっだったのよ?」

荒木
「やっやったよ?

 何も起きなかった」

谷口
「ああ、おう、そうだ。
 
 ガセネタだった」

小山
「やってないでしょ?」

荒木
「1人じゃ怖いんだよ!」

谷口
「そうさっビビったよ!

 満足か?
 
 家族にぬいぐるみ刺してる所を見られてみろや、優しい目で見られるだろうが!
 
 そういうお前はやったんけっ?」

小山
「やるわけ無いやろ!

 ぬいぐるみの変わりにあんたで試すで!」

谷口
「開き直ってんじゃねーよ!」

荒木
「てか小山は最近ねーのか?

 不思議な感覚」
 
 言われてドキっとした。
 
 実はある。
 
 しかしそれが何かを突き止めるにはいささか問題があったのだ。
 
 私が考え込んで黙ってしまったのでそれを察知されてしまったようだ。

谷口
「聞こうか」

荒木
「こいつはヤバそうだ」
 
 二人は姿勢を正し、ノートを開いてメモを取る体勢に入った。
 
 仕方なく私が最近体験した話を語った。
 
 それは数日前の事で、放課後オカ研で雑談をした後ちょうど部活が終わった真奈美に会った。
 
 教室に忘れ物を取りに行くのを付いてきて欲しいという。
 
 それまで怖い話を谷口と荒木からさんざん聞かされていた私は夜の校舎に入る事をためらったが、私以上に怖がりの真奈美を見捨てる事は出来なかった。
 
 私達は階段を上がり、暗い廊下を消火栓の表示灯を頼りに教室に向かった。
 
 野球部が遅くまで練習してくれているで教室の中はライトで多少明るかった。
 
 真奈美が机をごそごそやっていると急に耳鳴りがした。
 
 しかも結構ひどい耳鳴りが、その時教室にラップ音がした。
 
 たった一回だけだったので真奈美はそれに気づかなかったらしい。

真奈美
「あったあった、ごめんな?行こ」
 
 真奈美は私を急かしたが、私はその場から何故か動きたくなかった。

真奈美
「どうしたん?」

小山
「ちょっと耳鳴りが、ちょっと待って」

真奈美
「怖いしはよ帰ろーや」
 
 辺りに人の気配がした私は怖くなり、机の影に隠れる為に座り込んだ。

真奈美
「ちょっと大丈夫?」
 
 私を心配してくれた真奈美も同じように座りこんだ。

小山
「ちょっとだけ静かに」
 
 暫く沈黙が続き真奈美は不安そうに私の顔を覗き込んでいた。
 
 やがて気配は消え、耳鳴りも収まっていった。

小山
「ごめん、治った」

真奈美
「なんやったん!あー怖かった」
 
 二人は早足で校舎から出たのだ。
 
 私はその時見た。
 
 振り替えると教室の窓を走る影があったのだ。

谷口・荒木「ゴクリ」

 話は続く。