私達三人は要所要所で写真を撮り、比較的整備の行き届いた道を辿って山の中腹を目指した。
そこまで高い山ではないし現役高校生の私達にとってはそれほど苦では無い山登りだった。
稲荷神社中腹には大きな岩がある。
そこからは京都市内が一望出来る隠れた夜景スポットだ。
小山
「綺麗」
谷口
「光の川が流れてる」
荒木
「高速道路だよ」
小山
「星空の宝石箱みたい」
荒木
「LEDライトだよ」
谷口
「どうする?
頂上はまだ先だけど?」
小山
「遅くなったら怒られるからもう帰ろ?」
荒木
「そうだな、腹も減ったし」
その時微かだが足音が闇夜から聞こえてきた。
小山「聞こえる?」
谷口「聞こえる」
荒木
「こんな時間に観光客か?」
次第にこっちに向かってくる足音に三人は顔を見合せ、来た道を静かに引き返し始めた。
私達は迫ってくる「なにか」に気付かれないように出来る限り足音を立てずに逃げた。
徐々に追ってくる足音が大きくなる。
月に薄く照らされた道は人気が無く静かであった為、より一層その謎の足音が響く。
私は声を殺して二人に話かけた。
小山
「あの足音って走ってるよね?」
谷口
「走ってるよな」
荒木
「走ろう!」
なにかが走っている事に気づいた三人は暗い道を駆けた。
相手に気づかれようがそんな事はもうどうでもよくなっていた。
恐怖に駆られ鳥居と鳥居の隙間から漏れる月の光の壁をいくつも通り抜け走り続けた。
私は運動があまり得意ではなく、泣きそうになっていたのを谷口が気づいた。
谷口は今こそ二人を助ける時だと腹をくくった。
谷口
「お前らといた、短い期間…最高に面白かったぜ!
行け!」
そう言うと谷口は雄叫びを上げて足音に向かって踵を返した。
私は思わず叫んでいた。
小山
「隊長ー!」
荒木
「やれやれ、カッコいい隊長だぜ」
小山
「忘れない私、隊長の事」
荒木
「俺の事も覚えていてくれよ、走れ!
後ろは振り替えるな!
時間を稼ぐ」
荒木は鼻息を荒くして同じく叫びながら暗闇に消えていった。
二人の意志を無駄にしないように私は苦しさを紛らわして走った。
泣きながら入り口にたどり着いた私は二人を待った。
今思い出すと臭いセリフだったけど私はパニックになっていたので感動していた。
三人で過ごした短い時間を思い出すとまた涙が溢れてきた。
二人の笑い声が聞こえる。
寂し過ぎて幻聴が聞こえるのだろうか、でも爆笑しながらこちらに向かって来る姿も見えた。
小山
「えっえっ?無事だったの?」
谷口
「妖怪仕事上がりにランニング男だった」
荒木
「ランニング着たただの中年スポーツマンだった」
私は安心して泣き崩れ二人はどうすればいいか分からず立ち尽くしていた。
荒木
「泣き顔も可愛い」
谷口
「明日ウドンと稲荷寿司奢ってやるから泣くなよ、俺らが苛めてるみたいだろ」
小山「アホー」
恥ずかしさも合間って益々泣いてしまったが次第に可笑しくなって笑ってしまった。
それにつられて二人も笑いだし三人は笑いながら電車に乗り込んだ。
次の日ランニングを着た変質者が捕まったと新聞に載っていたのを谷口が見つけ、三人は血の気が引いていた。
これは大外れだった。
そこまで高い山ではないし現役高校生の私達にとってはそれほど苦では無い山登りだった。
稲荷神社中腹には大きな岩がある。
そこからは京都市内が一望出来る隠れた夜景スポットだ。
小山
「綺麗」
谷口
「光の川が流れてる」
荒木
「高速道路だよ」
小山
「星空の宝石箱みたい」
荒木
「LEDライトだよ」
谷口
「どうする?
頂上はまだ先だけど?」
小山
「遅くなったら怒られるからもう帰ろ?」
荒木
「そうだな、腹も減ったし」
その時微かだが足音が闇夜から聞こえてきた。
小山「聞こえる?」
谷口「聞こえる」
荒木
「こんな時間に観光客か?」
次第にこっちに向かってくる足音に三人は顔を見合せ、来た道を静かに引き返し始めた。
私達は迫ってくる「なにか」に気付かれないように出来る限り足音を立てずに逃げた。
徐々に追ってくる足音が大きくなる。
月に薄く照らされた道は人気が無く静かであった為、より一層その謎の足音が響く。
私は声を殺して二人に話かけた。
小山
「あの足音って走ってるよね?」
谷口
「走ってるよな」
荒木
「走ろう!」
なにかが走っている事に気づいた三人は暗い道を駆けた。
相手に気づかれようがそんな事はもうどうでもよくなっていた。
恐怖に駆られ鳥居と鳥居の隙間から漏れる月の光の壁をいくつも通り抜け走り続けた。
私は運動があまり得意ではなく、泣きそうになっていたのを谷口が気づいた。
谷口は今こそ二人を助ける時だと腹をくくった。
谷口
「お前らといた、短い期間…最高に面白かったぜ!
行け!」
そう言うと谷口は雄叫びを上げて足音に向かって踵を返した。
私は思わず叫んでいた。
小山
「隊長ー!」
荒木
「やれやれ、カッコいい隊長だぜ」
小山
「忘れない私、隊長の事」
荒木
「俺の事も覚えていてくれよ、走れ!
後ろは振り替えるな!
時間を稼ぐ」
荒木は鼻息を荒くして同じく叫びながら暗闇に消えていった。
二人の意志を無駄にしないように私は苦しさを紛らわして走った。
泣きながら入り口にたどり着いた私は二人を待った。
今思い出すと臭いセリフだったけど私はパニックになっていたので感動していた。
三人で過ごした短い時間を思い出すとまた涙が溢れてきた。
二人の笑い声が聞こえる。
寂し過ぎて幻聴が聞こえるのだろうか、でも爆笑しながらこちらに向かって来る姿も見えた。
小山
「えっえっ?無事だったの?」
谷口
「妖怪仕事上がりにランニング男だった」
荒木
「ランニング着たただの中年スポーツマンだった」
私は安心して泣き崩れ二人はどうすればいいか分からず立ち尽くしていた。
荒木
「泣き顔も可愛い」
谷口
「明日ウドンと稲荷寿司奢ってやるから泣くなよ、俺らが苛めてるみたいだろ」
小山「アホー」
恥ずかしさも合間って益々泣いてしまったが次第に可笑しくなって笑ってしまった。
それにつられて二人も笑いだし三人は笑いながら電車に乗り込んだ。
次の日ランニングを着た変質者が捕まったと新聞に載っていたのを谷口が見つけ、三人は血の気が引いていた。
これは大外れだった。

