谷口
「正直かなり興味深い」
 
 谷口は考えこんでいるようだった。

小山
「でしょ?」
 
 誰にも言えぬ事に興味を持って貰えて私はちょっと嬉しかった。

谷口
「じゃあそこがどういった場所か調べろってか?」

小山
「やってくれる?」

谷口
「直ぐにとはいかないけど」

小山
「何でなん?」

谷口
「そんなもん、勝手に入ったら不法侵入になるだろ?
 
 怒られたらどうする?
 
 言う通り神社だったらそれは無いかも知れないけど。
 
 第一まじでヤバい所だったらどうするよ?
 
 不思議な感じがしたんだろ?」

小山
「ヤバいってどんな?」

谷口
「やれやれ、これだから素人さんは」

小山
「ムカつく言い方。
 あんたプロなの?
 あんたそれで食べてんの?」

谷口
「まあまあ。
 
 だーかーらーそこは壁で囲まれてたんだろ?
 
 壁の役割は?」

小山
「そりゃー外から見えない用にするとか、風を防ぐとか」

谷口
「防ぐのは風だけじゃないさ」

小山
「外敵とか?何か中の物を守る為?」

谷口
「またはその逆か」

小山
「逆?」

谷口
「入り口が無いんだろ?
 
 閉じ込めてるって考えてもおかしく無くない?」
 
 私はちょっと怖くなっていた。

谷口
「まあ宅地開発における不具合って奴で決着だろうな。

 神社なら取り壊しずらいだろうし」

小山
「そうやなーそれに大人やったら外からみんな見れるんだしね」

谷口
「でも1人で確かめられず俺達を頼りに来たって事は、口の割には臆病なんですね先輩?」

小山
「一応麗しい女性なんですけど、女性が壁を乗り越えるなんてはしたない事できないんですけど」

谷口
「縄梯子登って、後輩脅したくせに」
 
 その時手拍子が鳴った。

谷口
「ゼロが来た」

小山
「ゼロ?」

谷口
「もう一人の部員。

 荒木って友達、霊感ゼロだから」

小山「ダッさ」

谷口
「俺は隊長って呼ばれてる。
 
 まあゼロとの間だけだけど」

小山
「子供みたい」

谷口
「高校生は子供だろ?

 それに重要なんだよ!」

荒木
「よお隊長!昨日の心霊体験のテレビ見た?」

小山
「こんにちは」

荒木
「じょじょじょ女子だ!
 
 生女子がいる!」

谷口
「幽霊じゃないよ」

荒木
「うちに?逆にそっちの方が怖い。
 
 なにもんだ?

 何を企んでる?」

谷口
「脅されてる」
 
 二人がはしゃぎながら騒いでいる中で私はこの二人に疲れを感じていた。
 
 こいつらとは多分うまくやれそうに無いと私は確信していた。