その男、小悪魔につき。【停滞中】




ブーッ ブーッ ブーッ



あぁもう、うるさいなぁ……



「もしもし?」


ベッドの横に落ちている鞄から、携帯のバイブ音がして私はそれで目を覚ました。




『あ、ごめん。起こしちゃったかな?俺……孝広』



織田孝広ーーー



まさかの人物からの電話に私は驚いて、寝転がったまま目を見開く事しかできなかった。



今さら、何の用……?



『もしもし?彩月?』



久々に呼ばれた名前に思わず息を呑む。


相変わらず私を呼ぶ声は優しくて、あの時のように温もりのある低い声だった。



「はい……どうかしたの?」



それに対し私から出た声は自分でも情けなるくらい、ひ弱で掠れた声。



『ごめんな急に。あの……夏奈子から招待状送ったって聞いて、それで』