千尋くんが手を離したので、私も隣に寝転がった。
「あ、そっか……。お、おめでとうございました?」
「ククッ、ありがとうございます。晴れて4月からは俺も彩月さんの仲間入りです。」
口元に手の甲をあてて笑う千尋くんを、私は見つめる。
こんな新人来たらさぞモテるだろうなぁ…。
はっ!!
千尋くんだって職場で色気むんむんのお姉さま的な人に言い寄られたら、断らないんじゃ…?
そしたら私は晴れて……
むに
「俺の顔に何か付いてます?」
きっと間抜け顔をしていたであろう私の頬をつまんで、千尋くんは眉を潜めた。
「い、いえいえ!そっか。千尋くんも社会人かぁ。頑張ってね本当に。今は結構辛い職場も多いからねぇ。」
それにさぞおモテになるだろうし……?
心の中でフフンと笑っていると、鼻をつままれた。
「なっ、なにすんの!」
「その点は大丈夫です。俺には彩月さんがいますから。」
え?私……?
そして千尋くんは意味深に笑うと、仰向けになり目を閉じた。
「早く寝てください?次はありませんからね。」
えっ!!
急いで布団をかけ直し目を閉じると、左手が温かい手に包まれた。
「おやすみなさい。」
「お、おやすみっ。」

