その男、小悪魔につき。【停滞中】



ちゅ、


重なった唇は一瞬で離れた。



「これはこないだのお返しです。」



ごろん、と千尋くんは私の隣に寝転がる。



お返し……?



「……っ!もしかして前に泊まった時に私っ……」



興奮して千尋くんの胸ぐらを掴みながら聞くと、千尋くんは頷いた。



「落ち着いてくださいよ。あ、でもこないだは俺がしたからお返しの分は済んでたんだった。」



「えっ、あ!!そうだよ!!」


私の慌てっぷりに千尋くんはハハッと笑い、私の後頭部に手を回し引き寄せた。



そして耳元で掠れた声で囁いた。



「これから……楽しみですね?」



「……っ!全然楽しみじゃない!!!」



ガバッと顔を離して言うと、千尋くんはまた面白そうに目を細め笑っていた。



「こんの……変態大学生。」



「残念。もう卒業しました。」