「コーヒーと紅茶、どっちが好きですか?」
「えっと……紅茶でお願いします。」
こやつ、やっぱり扱いが上手いな……。
千尋はリビングに入った時に自然に彩月の荷物を持って、コートもハンガーにかけた。
でもなんというか、スマートで嫌味がないんだよなぁ……。
「何ですか?」
「う、ううんっ!それ、ケーキだから良かったらどうぞ!」
「ケーキですか。ありがとうございます。せっかくだから今頂いちゃいましょうか?」
「うん、そうしよ!」
やったー!
あのショートケーキ美味しそうだったから食べたかったんだよね!
「ふっ、くくくっ」
「どうかした?」
キッチンの方から千尋の笑い声が聞こえきて、覗きに行くと、紅茶を淹れていて後ろ姿だったが肩を揺らしていた。

