すると、王子が言った。 「なんで、神無月っていう苗字と学校指定のジャージで気づかなかったんだろ…」 たしかに。 けど、あたしも王子が顔を近づけてくるまで全くといっていいほど気づいていなかった。 だって、新聞配達する王子なんて想像もつかないし、もっと大人っぽく見えてたんだもん! 「か、片桐くん…」 あたしは、願いを込めた。 「このこと、誰にも言わないで…」