「へぇ…俺のこと、知らないんだ?」 俺はソイツの何が気に入らないんだ? 自分でもよくわからないけど。 「えっ…」 その女は肩を震わせている。 確かに、さっきみたいに俺が女共に囲まれてるところを見たあとに、知りませんって言ったんだもんな。 「あ、あのっ、ホントすみません…」 そこまであからさまに落ち込まれると、こっちが悪いみたいじゃないか。 俺は、ソイツとちゃんと向き合った。 「別に。知らなくてもいい。名前は?」 その女はえっ、と言って。 「神無月歩香です」 といった。