【完】貧乏な王子様!?





俺はまるで聞く気はなかった。

だから、背を向けたままにした。



けど、女は、別に俺に告る、とかそーゆーのじゃなかった。


「今朝は、ありがとうございました!」




…は?



てっきりいつもみたいに告られるだけかと思っていた俺は、目を見開いた。


そんな俺の後ろ姿を、多分見ているんだろう。

それでも構わず女は続けた。



「あの、あたし助けてもらったとき、片桐くんのこと知らなくて、お礼遅くなっちゃって…」




「ふぅん…」



どういう心境の変化かわからない。

俺はその女の方へ向き、歩き始めていた。